大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

水戸地方裁判所 平成8年(わ)389号 判決

本籍

茨城県鹿島郡鉾田町大字青柳二六一番地

住居

右同

会社員

小松崎章

昭和一五年一〇月二六日生

主文

被告人を懲役一年二月及び罰金三二〇〇万円に処する。

右罰金を完納できないときは金一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(犯罪事実)

被告人は、平成元年四月、土木建築工事の請負業等を目的とする有限会社小松崎林業を設立し、代表取締役として経営に従事するかたわら、昭和五七、八年ころから営利を目的として不動産取引等を行っていたものであるが、自己の所得税を不正の行為により免れようと企て、他人名義を使用するなどして土地等を譲渡し、その譲渡収入の一部を除外するなどの方法により、所得を秘匿した上

第一  平成三年中における総所得金額が一〇六〇万五〇〇〇円、分離課税による土地譲渡等の雑所得金額が四〇一七万三五〇〇円で、これらに対する所得税額は二二七一万一五〇〇円であるにもかかわらず、平成四年三月一六日、茨城県行方郡潮来町大字延方甲一三五八番地所轄潮来税務署において、同税務署長に対し、その総所得金額が一〇六〇万五〇〇〇円、分離課税による短期譲渡所得金額が一三一万円で、これらに対する所得税額が九二万円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、正規の所得税額と右申告税額との差額二一七九万一五〇〇円を免れた

第二  平成四年中における総所得金額が一一〇〇万五〇〇〇円、分離課税による土地譲渡等の雑所得金額が一億五七八九万二七〇〇円で、これらに対する所得税額は九三三四万一四〇〇円であるにもかかわらず、平成五年三月一五日、前記所轄潮来税務署において、同税務署長に対し、その総所得金額が一一〇〇万五〇〇〇円、分離課税による短期譲渡所得金額が七九万五〇〇〇円で、これらに対する所得税額が五七万三〇〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、正規の所得税額と右申告税額との差額九二七六万八四〇〇円を免れた

第三  平成五年中における総所得金額が一一二二万五〇〇〇円、分離課税による土地譲渡等の雑所得金額が一〇五〇万円で、これらに対する所得税額は五六九万一〇〇〇円であるにもかかわらず、平成六年三月一五日、前記所轄潮来税務署において、同税務署長に対し、その総所得金額が一〇八〇万五〇〇〇円、これに対する所得税額が三一万五〇〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、正規の所得税額と右申告税額との差額五三七万六〇〇〇円を免れた。

(証拠)

カッコ内の番号は証拠等関係カードにおける検察官の請求証拠番号を示す。

判示全部の事実について

一  被告人の

1  公判供述

2  検察官調書五通(乙2、7から10)

一  設楽浩一、田崎豊次の各検察官調書

一  回答書、収入金額調査書、譲渡原価調査書、一般管理費調査書、捜査報告書(甲13)

判示第二の事実について

一  被告人の検察官調書四通(乙3から6)

一  菅谷勝一、酒井健造、柏芳夫、小沼昭男、磯部和子の各検察官調書

判示第三の事実について

一  特別控除額調査書

(法令の適用)

1  罰条

いずれも所得税法二三八条に該当する。

2  刑種の選択

懲役刑及び罰金刑を選択する。

3  併合罪加重

平成七年法律第九一号による改正前の刑法(以下同じ。)四五条前段の併合罪であるから、懲役刑については同法四七条本文、一〇条により最も犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をする。罰金刑については同法四八条二項により、合算した金額の範囲内で処断する。

4  労役場留置

刑法一八条

5  刑の執行猶予

懲役刑について刑法二五条一項

(出席した検察官 佐藤光代、同弁護人 松崎保元)

(求刑 懲役一年二月及び罰金四〇〇〇万円)

(裁判官 駒井雅之)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例